信頼できる「現地パートナー」を通じて
途上国の市場を開拓する
- 枝廣:
- さきほどチームが自分たちで見つけてきて勉強会をする、とおっしゃっていましたが、どうやって見つけるのですか?
- 中村:
- ネットで調べるのが多いですね。あと、いろいろな国際会議もあります。途上国向けのテクノロジーの世界があるんですよ。スタンフォードやMITのそういう会議などには、その分野に関係する人が集まってきます。ほかにも、いわゆるインパクト・インベストメントと呼ばれる分野で投資をしている人たちから教えてもらったり、こちらからも今こういう面白い技術があるよと情報交換したりしています。
- 枝廣:
- あるベンチャーの持っているテクノロジーを使いたいという現地パートナーが現れたときに、それは無料でもらうわけではないのですよね?
- 中村:
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ええ。そうですね。買います。だから、会社にとっては、我々が市場開拓をしているということですね。
- 枝廣:
- もう片方の「現地パートナー」というのは、どういう人たちでしょうか?NGOですか?
- 中村:
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NGOも多いですし、協同組合や女性グループもあります。最近は、売店とも一緒にやっています。それぞれの場所には何らかの活動をしている団体がいっぱいありますよね。目的はいろいろですが、そういう団体はだいたい、村の人からの信頼を得ていて、「彼らが言うことだったら聞いてみよう」というくらいの地位を築いているんです。だから、そういうところを通じてやると、すんなりと入っていけるんですよ。
- 枝廣:
- 外から来てやるんじゃなくて、現地の人たちを通じて、ということなのですね。パートナーは、今、どれくらいいるのですか?
- 中村:
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プロジェクトの数としたら、130くらいですかね。複数のプロジェクトをやっているところもあるから、60とか70くらいですかね。
- 枝廣:
- どうやって現地パートナーになるのですか?
- 中村:
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現地パートナーから提案書があがってくるときもありますし、こちらから「こんなのをやってますよ」って言うときもあります。インドネシアを拠点にしているので、インドネシアでのいろいろなイベントなど面白い人たちの集まりで、「一緒にやりませんか?」とこちらから言うときもあります。
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現地パートナーの Move Forward のスタッフの皆さん
- 枝廣:
- ウェブからでも申し込みができるのですよね。でも、誰でも現地パートナーになれるわけではないのでしょう?
- 中村:
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ええ、でもけっこう広く受け入れています。ただ、寄付を使っていることもあって、信頼できるかどうかが一番重要です。ですから、基本的な団体の報告書や財務状況について質問し、そういったものがすぐに出てこないところはやめておく、といった基本的なチェックはしていますが、あとは一緒にやってみながら、ですね。
- 枝廣:
- 最終ユーザーは無料でもらうのではないとすると、企業からテクノロジーを買う値段と、その途上国で人々が買える値段との間にギャップがありませんか?
- 中村:
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そうですね。買った値段よりも下げている場合もありますが、今は、下げずに販売するテストもしてみています。そうなるとやはり、買い手にとっては少しハードルが高いので、「どうなるのかな?」と思って見てみると、現地パートナーが分割払いのようなことをやり始めて、値段が高くても無理なく払える仕組みができていったりします。