「有限の地球」と「無限の経済成長を求める経済構造」の折り合いをつけるために、これまで力を入れられてきたのは、技術の革新・開発による「デカップリング」です。技術の力でエネルギー効率や資源効率を上げれば、「資源やエネルギーの消費量、CO2排出量を増やすことなく、GDPを増やしつづけることができる」という考え方で、「経済成長」と「資源や環境への悪影響」を切り離す(デカップル)試みです。
これまで、世界はデカップリングに成功しているのでしょうか?
たとえば、世界の「GDPあたりのCO2排出量」(CO2原単位)を見ると、1990年には860gだったのが、2007年には760gと、改善を示しています。しかし、CO2排出量自体は、同期間に40%も増加しています。GDPあたりの原単位は改善しても、GDPそのものがそれ以上に増えているので、CO2排出量は増えてしまっているのです。
では今後の見通しはどうでしょうか?
もし今の勢いでGDPが増え続けてもCO2排出量が増えないよう、その分「GDPあたりのCO2排出量」を改善していこうとするならば、2007年に760gのGDPあたりのCO2排出量を2050年には40gに、つまり、今の20分の1近くに減らす必要があります。1990年以降のCO2原単位の改善は、年率0.7%です。20分の1という大きな改善は、果たして可能なのでしょうか? そして、2050年以降も経済成長を続けるとしたら、40gからさらに減らしていき、さらに限りなく0gへ向かって(成長が続くとしたらいずれ0gを超えて?)どんどん減らしていかなくてはなりません。
このように考えると、「経済成長を続けたまま、技術の力でデカップリングをすればよい」というわけではないことがわかります。やはり経済成長そのものを問い直さなくてはなりません。
- 経済成長は持続可能ではない
- 脱経済成長は不安定を引き起こす
- デカップリングでは問題が解決できない
- ではどうしたよいのだろうか?