経済成長を考える

「定常経済」での雇用は?

定常経済では、雇用はより安定し、地元企業は地域社会の活性化に大きく貢献することになります。

定常経済の特徴の1つは、人口が安定していることです。人口が安定していれば、労働年齢層の人口が増えて「絶えず雇用を創出し続けなくては」という圧力はかかる、ということもありません。

定常経済のもう一つの大きな特徴は、物質やエネルギーが効率的かつ持続可能に利用されることです。資源の浪費を抑えるとしたら、経済は(それが持続可能なことでない限り)作業工程の自動化で労働者を置き換えようとはしなくなるでしょう。

過去の経済にとっては、労働力が生産の制約でした。そのため、ある仕事をするために必要な労働力を減らす(労働生産性を上げる)ことが必須だったのです。そこで、オートメーションや海外生産(オフショアリング)などを進め、資源やエネルギーをどれだけ使っても、労働生産性を上げようとしてきました。

しかし、現在は、失業率が高まっていることからもわかるように、労働力は余りつつあります。オフショアリングの前提である「輸送のための安価な石油」も失われつつあります。労働力が生産の制約となっていたこれまでとは違って、資源やエネルギーの枯渇や不足が生産の制約になりつつあるのです。

これからは、「人手をかけても、資源の消費量を減らすこと」、つまり、労働生産性よりも資源生産性を重視する時代となります。その結果、働き口は増えることになるでしょう。

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