- 枝廣:
- 投資がある程度行きついた時に、その後の社会はどのようなものにしたらいいと先生は思われますか。
- 平山:
- 当然地球環境との共生という課題も含めて考えなくてはなりません。1つのキーワードは、有名なブローデルとウォーラーステインという師弟関係の2人の「長い16世紀」という指摘です。15世紀の途中から16世紀、17世紀の初めまでかかった一連の人間社会の変化、グローバル化と資本主義化が進展したこの大きな文明変化の時代を「長い16世紀」と呼んだのですが、その頃はほとんど成長のない世界だったのが大きく変わってゆく時代変化が始まったわけです。
- 江戸時代に生きた人物としてよく語られる一心太助という人は身分制度のもとでは魚屋にしかなれなかった。出世なんか考えられない。所得もおおむね毎年同じ。豊かさの前年比増加はなかったけれど、一心太助は不幸せだったかというと、そんなことないでしょう。粋な人生を大いに楽しんで生きたでしょう。魚を売って得る収入はそれほど多くはないけれど、困っている人を助け、皆に慕われながら幸福に生きたわけで、これからは我々もそんな生き方をすると思った方がいいのではないでしょうか。
平山 征夫(ひらやま いくお)
元新潟県知事・新潟国際情報大学学長
昭和19年柏崎市出身。
横浜国立大学経済学部経済学科卒業。
昭和42年日本銀行入行。神戸支店営業課長、総務局広報課長、電算情報局総務課長、新潟支店長、仙台支店長を経て、平成4年から3期12年間にわたり、新潟県知事として県政発展に尽力される。平成16年に退任後、長岡技術科学大学の特任教授として地域経営概論や実践企業論などの授業を担当。平成20年4月、新潟国際情報大学学長に就任。
- 新潟国際情報大学
- http://www.nuis.ac.jp/pub/